3.産業用大麻の世界的状況

 第二次世界大戦後、アメリカの意向に沿う形で多くの国が大麻の栽培を禁止してきましたが、1990年代に入り、禁止国にも徐々に解禁が進められました。1993年にイギリスが解禁すると、94年オランダ、95年オーストリア、96年ドイツ、98年カナダと産業用大麻は解禁されてきました。さらに最近ではオーストラリア、ニュージーランドで解禁になっています。

 もともと禁止されていないロシア、中国、韓国、ルーマニア、フランスなどの国では、シガレットペーパーや繊維製品として商品化されており、現在のユーロ紙幣の中にも使用されているといわれています。産業用大麻からは25,000種類の工業製品を作ることが出来ると言われています。ヨーロッパでの栽培面積は近年大変な勢いで拡大していますが、そこにあるのは脱アメリカ、脱石油という思想であると思います。

 石油になるまでには2億5千万年かかるというのに、商品として簡単低コストとばかりに100円ショップで売られていく状況に、環境論的にも1年生の草を原料とすることの価値が見直されてきています。

 ホルムアルデヒドゼロ住宅の要望から、各種建材、断熱材の需要が急速に高まっていますが、2015年までに車体の95%を食物繊維から作ると宣言しているメルセデスベンツ社をはじめとして、自動車メーカーの需要が拡大しています。自動車事故の場合いグラスファイバーだと人体に対する安全性に問題があり、植物繊維であれば刺さるという傷を負わずに済むからです。畑から作られるベンツは畑に戻せるというわけです。