1.大麻とは

 麻科の一年草で、雌雄異株の双子葉植物であり110日間で高さ3~4メートルに成長します。成長が早く真直ぐに伸びることから、現在でも麻の字を名前に使っているほか、昔から産着の模様には麻の葉模様が好まれてきました。成長速度が速いことから忍者の飛ぶ練習台に使われていたことはよく知られているところです。

 原産地は中央アジアといわれ、現在世界中に分布し、麻と言う場合い、大麻のほか亜麻(リネン)、苧麻(からむし)、黄麻(ジュート)、洋麻(ケナフ)、マニラ麻、ボンベイ麻、サイザル麻など20種以上あると言われています。 古来日本では繊維や種子を取る為に栽培され、古くはBC8000年の福井県鳥浜遺跡から大麻の縄が出土しています。又AD239年には、邪馬台国の女王卑弥呼が魏に大麻の布を送ると魏志倭人伝に記録されています。三草四木のひとつとして古来生活に密着しており、租庸調の税のなかにも含まれていました。古語拾遺には大麻栽培の由来が記録され(807年)、正倉院にはこの時代の麻布が残されています。万葉集には麻について55の歌が出てきます。

 麻の用途は大変広く、繊維は麻織物として、畳表の縦糸、魚網や釣り糸、下駄の緒、弓弦、横綱の化粧回し、蚊帳などに使われ、繊維をとった後の麻幹(オガラ)は、松明やお盆の迎え火の材として、花火の火薬としてなど、さらに味唐辛子のひとつとして、様々に使用されていました。

 日本では特に、大麻は邪気を払う力があると信じられ、神社札(伊勢大麻)、御幣、神社のお払い、注連縄、鈴縄、鈴縄の鈴、狩衣に今も使われています。