4.産業用大麻の可能性

 現在わが国の借金1,000兆円といわれ、構造改革という方針のもとで急速な公共事業の縮減が進められているなか、北海道の地域経済は今後更なる景気悪化が予想されています。公共事業という形で地方に隈なく行き渡っていた収入科目を取り上げられるときに、北海道という地域社会はどのような構造を青写真として持っているのでしょうか。大きく膨れ上がってしまった公共事業関連産業とその周辺産業は、北海道経済の30%を揺るがすものとなっている中にあって、これまで地域の収入科目の分配係として、公共事業に依存してきたといわれている建設業は、雇用を守る為には急速な業態転換を求められています。

 また北海道の基幹産業といわれている農業においては、永年にわたり次世代作物の必要性を叫ばれてきましたが、次世代作物どころか基幹作物そのものに不安が拡大しているのが実態です。ビートは砂糖の消費の落ち込みに加え、ブラジルやキューバからの輸入砂糖はクリーニングしてもなお価格は国内産よりはるかに安価であるといった状況です。離農や減反政策により耕作放棄地は道内に1万ヘクタールにおよび、休耕地を含め畑としての価値を急速に悪化させています。

 そのようななかで、産業用大麻を栽培することによって展開されるであろう可能性は、十分に検討するに値あるものと思います。

 春に種をまくと、110日で3~4メートルに成長する。農薬化学肥料等を必要としない為、ドイツでの視察の折直接農業者に確認したことであるが、作業負担が軽く委託面積を増やしたいとの事であり、産業用大麻栽培後の小麦は通常の1割増の収量を得られるとの事であります。

 オホーツク地域は道内にあって硝酸性窒素過多の土壌にあるが、産業用大麻が必要とする土壌と大変マッチするものですから、クリーニングクロップとしての効果も期待できます。

 農業の次世代作物としての可能性は同時に、畑の横にある工場で工業製品を製造することが可能であり、建設業界の業態転換と雇用の確保を約束されるものとなります。コントラクターとして収穫から工場での製造まで、そして商品としての地域内循環を目指したいと思います。